【俺キタ】さようなら。おはよう。【4】
初春の清々しい朝ですね…!
なんて思ってみても俺の心の中は曇天だった。
重苦しい…放課後がヤダ…授業受けてさっさと帰りたい…。
ふらふらー。そんな足取りで廊下を歩いていると、ドンっと曲がり角で誰かと衝突。衝撃が俺を襲う。
「!?」「きゃっ」
だがしかし相手は小柄な女子生徒だったようで、結果は俺ではなくて女子生徒がしりもち着くこととなってしまった。
どさっと地面に着く音。
人がジャンプして着地するときにかかる圧は最大で車10台以上と聞いたことがあるから。いま彼女はどれぐらいの…と違う。
今はそんなことを考えてる時じゃなかった。
「大丈夫ですか」と声に出しかかって、うっと詰まった。
…「大丈夫ですか」と聞いて、それでどうするんだ…
他人とは必要最低限としか関わったことのない俺の対人スキルは決して高くはない。
今の今までこういう状況になったことはなし…。
だがほっとくなんて論外だ。俺はその人のもとへ寄ると声をかけた。
「大丈夫ですか…?」
「あっ はい…」
女子生徒は自力でなんとか立ち上がったが、ふっと力が抜けたように、再び倒れそうになる。が、俺は反射的にそれを支えた。
「す、すみません…っ」
「いや、気にしないで下さい…えと、本当に大丈夫ですか…?」
「はい…」
いやどう考えても大丈夫じゃなさそうなんだが。
よく見ると女子生徒の体はふるふると震えていて、心なしか唇も薄紫がかっている。
「…ちなみに、どこへ向かってるんですか…?」
「……保健室…」
保健室。この曲がり角を曲がっていけばすぐに着く場所だ。
…俺はいつも早朝に来ていて今は校内の人通りが少ない頃。それなら…
「あの…もう大丈夫です…すみません」
そう女子生徒が俺から離れようとした時。
「!? きゃあっ」俺は彼女を横抱きにすると黙々と廊下の来た道…つまり保健室を目指していく。
「あのっ だ、大丈夫です!; 離してください…!;」
「ひ、一人で行けますから!;」
「あ、あの…!」「ああもううるせーよ!少し黙ってろ…!」
人に気付かれたらどうするんだよ!
ぶっちゃけこっちの方が本心だった。
俺はこんな状況になったことがなかったから分からないけど、あのままふらふらしてる相手を見過ごすわけにもいかないだろう。人目にさらされないうちに俺は早足で保健室へと向かう。
「え、えと…」
困ったように返す女子生徒だったがやがて何も言わなくなった。
「あ、ありがとうございます…」
「おう、じゃあな」
知らない間に当初の敬語ではなくなっていたが、なんとか女子生徒を保健室前で下すと俺は今度こそ教室へと向かう。
…そう言えば、さっきの女性生徒。顔はなかなか窺えなかったが。かなり整っていた方だと思う。
背中辺りまでウェーブがかった黒髪に小柄な体系。輪郭もしゅっと整っていた。だが……
「なんだろな…この違和感は…」
悩んでみるが何も浮かばない。悩みぬいた挙句についた教室の戸を開けるとそこには、
「おお!本田くん!おはよー!」
「…………」
がらがら。俺は再び開けた戸を閉めた。
…さようなら。
今まで俺の安息の時間だった誰もいない朝の教室。
…そしておはよう。
扉の向こう側のド天然アホ。
【俺キタ】もう一度、詳しいことお願いします。【3】
「部長さん」
「なんだ?」
部長とやらにソファに座らされ、そんな間もなく相川が部長に尋ねた。
「どこの部の部長さんですか…?」
「「……?」」
「え?どうかしましたかっ;?」
…あ、そうか。そういうことか、一瞬質問の意味が分からんな…
「今かよ!お前どこの部の部長かも分からないで『あ、部長さんですかぁ?(声真似)』って言ったのかよ…!!」
「? はい…」
…アホだこいつアホだ。
かなり温度差がある後輩たちの前で、部長は慌てたように言う。
「ぁ、ああ!わっ私が部長だ!き、帰宅部のな!;;」
「そうですかぁやっぱり!帰宅部の部長っぽいなって思ったんです!」
なんてにっこり笑顔で言ってるがお前それ失礼だからな。
さっきこいつとは同学年だって聞いたが、もし同じクラスだったらある意味ショックだな。こんな天然アホと同じクラスってことにさえも気づかないなんて…
俺はブルブルと首を振り思考を払うと改まって目の前の先輩を見た。
「ところで、ここは帰宅部なんですよね…?」
「ん、ああ、そうだぞ」
部長はそう言うと微笑み返す。
この人って可愛さと男前を足して2で割ったような美人だな…。
「帰宅部っていうのは、他の部活と違って活動はないんでしょう…?」
「いや、あるぞ」
はたまた部長は微笑を称えながら俺に…て
「…は?」
帰宅部なんだから帰宅するんだろう。帰宅以外何をすると言うんだ。
「ああ、表立っての活動はない。しかし、活動はある」
「…どういう、いみですか…?」
帰宅部部長のその人はサッと立ちあがると窓側へと静かに歩いて行った。
「つまりだな…」そして窓際に手をつくとふっと息をつき、きりっと俺たちを見据えて言う。
「桜蘭高校帰宅部の活動内容。全生徒総下校時まで主に部室にてだらだらすること、だ!!!!」
「………」え。
隣では相川が「わあ、楽しそう!」とか言ってるが、…え。
「? 新部員の本田。どうした」
「ちょ、いや。だってここは帰宅部でしょう?授業受けたらそのまま帰れるんじゃないのか…!? あ、いや…帰れるんじゃないんですか?」
危ねえ。タメになった。先輩とかとあんま関わったこと無いからな。気をつけよう。
俺の熱烈な抗議に、目の前の部長はきょとんとした顔で言い放った。
「…? 他の部だって最終的には帰宅するじゃないか。」
――――――――――――
散々だ…散々だ…。
だいたい妹にどう弁解すればいいんだ…。
(『帰宅部にはいったけどそこはひたすらだらだらする部でした。』)
なんて…ああああ
「本田くん」
「? なんだ、いたのか」
横から聞こえた声に振り向くと、そこには相川がいた。
とりあえずさっきは部長の説明をサラッと聞いて、今回はそれだけで帰れ。ということだったらしい。俺たちは今まさに生徒玄関へ向かう途中の廊下だ。
「酷いよ!最初っからいたよ…!;」なんて言ってる相川に俺はふと気になり聞いてみた。
「…相川」
「? なに、本田くん」
「お前は、どうして帰宅部に入ったんだ…?」
「………」
どうしたもこうしたも、理由なんて『めんどくさかったから』とか『家庭の事情で…』以外の何者でもないだろうが、なんとなく気になったのだ。
すると、少しの間を開け、再び目線を俺に合わせた相川は、にこりと笑うと言った。
「さて、なんでしょう…?」
黄金色に輝く夕焼けが、俺たちを照らしていた。
【俺キタ】詳しいことお願いします。【2】
「…あ」
よろしく。
と差し出された手に俺はどうしていいものか分からなかった。
そもそも今どき挨拶で握手って…
「? どうしたの本田くん…?思いっきり、握っちゃっていいんですよ?」
何を言ってるんだこいつは。
でもまぁ仕方ない。
ここはさっさと握り返して、
「ああやっぱ帰宅部だから活動とかないんダナー」
とか言ってさっさと帰ってしまうのがセオリーだろう。
よしそうと決まればそうしよう。
俺は少しためらいがちに、
目の前の相川とかいう女子生徒と握手をしようと手を触れさせた時だった…
「なんだ、新しい部員か」
ビクぅ…!
突然背後から飛んできた声に思わず肩がはずむ。
触れかけた手は離れた。
…「新しい部員」というくらいならここの先輩だろうか。
まずいまずい…これはさっさと帰れそうにない…
「すまないな。今丁度二年の奴らは用があっていないんだ…」
高く透き通った声が部室に響いた。……もしや、三年?部長?
抜け出せそうにないこの状況といきなりの上級生の登場で
硬直してしまっている俺とは違い、目の前の女子生徒は明るい声音で言った。
「あ、部長さんですか?」
「…ぁ、ああ。そうだ」
「わあ!よろしくお願いします!私一年の相川芽衣子っていいます!」
「よろしく。…それで、お前は、なんていうんだ?」
部長と名乗ったその人物がそう聞いてきたことで、
俺は初めて俯いていた顔を上げ、『部長』を見た。
淡く輝く金色の髪にすらっとすた四肢。
それに整った顔立ちはきっと見るものを惹きつけるそれで、
制服はスクールニットを着ているがなぜかその上からは羽織りを一枚羽織っていた。
だが決して違和感は持たない。
「? お前、名前は…」
「あっ …本田諒介…です」
「本田…か。わかった。よろしくな」
「はい…」
まあ、ソファにでも座ってくれ。
そう催促されて、俺と相川は部室内にあったソファに座る。
座り心地は…まあ中の上。
「さっきは先に名乗らせてしまってすまなかったな」
そして目の前の帰宅部『部長』は、凛々しい雰囲気には少し似合わない愛らしい笑みを晒しながら、自分の名前を名乗った。
「わたしは、三年の神條真名(しんじょう/まな)だ」
【続く】
―――――――――――――
諒介がコミュショーみたいになってる…
大丈夫。こっから毒舌になっていくんだものね←
…きっとロスタイムメモリー聞いたからだよ…
やばいやばいやb((((
うわあああああああああああああああ!
更新サボってたっけあわわわわわ!!
俺キタ最低で週2更新するとか言ってた私うわあああ!
ということで、今回は私
連続更新となりまする…!!;
無題。
最近寝不足です…
うう、やっぱり日々の体調管理は重要。
明日あたり俺キタ更新したいなぁっと…
俺キタと言えば、another story①の台本出しました。
登場人物が多いのもあり、かなり詰め詰めになってしまいましたが
優秀な声優さんたちなので((どやぁ
なんとかなると思っていまs←
今日が終了式じゃないのが凄く不思議です。
月曜日に終了式。なぜに。
まったく、大人の考えることはわけわかめです。
ナンセンス。
リアルな怖さ…
今日は春分の日!
……おい部活、なぜあるんだね…
という訳で午後から部活があった訳ですが、
その帰り道での出来事です。
友達S田ちゃんと歩いていたら前方からおばあちゃんが
「ちょっと、いいかい…?」
するとS田ちゃんがそのおばあさんに話しかけられたのです。
「はい」
優しいS田ちゃんは応じました。本当に優しいよS田ちゃん。
私も一人先こして帰る訳にもいきませんw
その場にいました。
(道でも聞かれるのかな…?)
その程度に考えていたのですが、おばあさんはこう言いました。
「ちょっと家の電気つけてくれないかい…?」
…………は?
今はちょうど日中で、明らかに電気なんてつける必要ありません。
怪訝になった私に
本当に、本当に優しいS田ちゃんは言いました。
「あ、はい。どこですか?」
おいいいいいい!!?S田ちゃああん!?
……と、まぁ、この後は
なんとか見ず知らずのおばあちゃんの家の電気をつけて
帰ったのですが
家を出た時のS田ちゃん。
サッと駆け出すと
「こわいいいいこわかったよおおお…!」
…ああ、やっぱり怖かったんだね…
そんな少しカオスなお昼の出来事でした。