おらぶろ

5月までうごで声優活動しているオラが、5月後もだらだら活動する場所。おてやわらかにどうぞ。

【俺キタ】もう一度、詳しいことお願いします。【3】

「部長さん」

「なんだ?」

部長とやらにソファに座らされ、そんな間もなく相川が部長に尋ねた。

 

「どこの部の部長さんですか…?」

 

「「……?」」

「え?どうかしましたかっ;?」

…あ、そうか。そういうことか、一瞬質問の意味が分からんな…

「今かよ!お前どこの部の部長かも分からないで『あ、部長さんですかぁ?(声真似)』って言ったのかよ…!!」

「? はい…」

…アホだこいつアホだ。

かなり温度差がある後輩たちの前で、部長は慌てたように言う。

「ぁ、ああ!わっ私が部長だ!き、帰宅部のな!;;」

「そうですかぁやっぱり!帰宅部の部長っぽいなって思ったんです!」

なんてにっこり笑顔で言ってるがお前それ失礼だからな。

さっきこいつとは同学年だって聞いたが、もし同じクラスだったらある意味ショックだな。こんな天然アホと同じクラスってことにさえも気づかないなんて…

俺はブルブルと首を振り思考を払うと改まって目の前の先輩を見た。

「ところで、ここは帰宅部なんですよね…?」

「ん、ああ、そうだぞ」

部長はそう言うと微笑み返す。

この人って可愛さと男前を足して2で割ったような美人だな…。

「帰宅部っていうのは、他の部活と違って活動はないんでしょう…?」

「いや、あるぞ」

はたまた部長は微笑を称えながら俺に…て

「…は?」

帰宅部なんだから帰宅するんだろう。帰宅以外何をすると言うんだ。

「ああ、表立っての活動はない。しかし、活動はある」

「…どういう、いみですか…?」

帰宅部部長のその人はサッと立ちあがると窓側へと静かに歩いて行った。

「つまりだな…」そして窓際に手をつくとふっと息をつき、きりっと俺たちを見据えて言う。

「桜蘭高校帰宅部の活動内容。全生徒総下校時まで主に部室にてだらだらすること、だ!!!!」

「………」え。

隣では相川が「わあ、楽しそう!」とか言ってるが、…え。

「? 新部員の本田。どうした」

「ちょ、いや。だってここは帰宅部でしょう?授業受けたらそのまま帰れるんじゃないのか…!? あ、いや…帰れるんじゃないんですか?」

危ねえ。タメになった。先輩とかとあんま関わったこと無いからな。気をつけよう。

俺の熱烈な抗議に、目の前の部長はきょとんとした顔で言い放った。

「…? 他の部だって最終的には帰宅するじゃないか。」

 

――――――――――――

 

散々だ…散々だ…。

だいたい妹にどう弁解すればいいんだ…。

(『帰宅部にはいったけどそこはひたすらだらだらする部でした。』)

なんて…ああああ

 

「本田くん」

「? なんだ、いたのか」

横から聞こえた声に振り向くと、そこには相川がいた。

とりあえずさっきは部長の説明をサラッと聞いて、今回はそれだけで帰れ。ということだったらしい。俺たちは今まさに生徒玄関へ向かう途中の廊下だ。

「酷いよ!最初っからいたよ…!;」なんて言ってる相川に俺はふと気になり聞いてみた。

「…相川」

「? なに、本田くん」

「お前は、どうして帰宅部に入ったんだ…?」

「………」

どうしたもこうしたも、理由なんて『めんどくさかったから』とか『家庭の事情で…』以外の何者でもないだろうが、なんとなく気になったのだ。

すると、少しの間を開け、再び目線を俺に合わせた相川は、にこりと笑うと言った。

 

「さて、なんでしょう…?」

 

黄金色に輝く夕焼けが、俺たちを照らしていた。